うつわ雑学

清水焼の「特徴」って?-清水焼研究レポート②

ssyouhei

いらっしゃいませ!

さて、前回に引き続き今回は清水焼の探究です!

前回の記事もぜひ読んでくださいね!

京都はかつての都ということもあり文化の交差点でもありました。多種多様な文化が入り込んでくるということは、文化的にどこか混沌としてきます。現代の東京なんてなんでもありすぎてかえってひと言で言い表しにくいことになっています。今でこそ和文化の総本山って顔してますけど、多分当時もそんな感じだったんじゃないでしょうか。

それは京都で栄えた窯業・清水焼にも言えることで、いろんな技法を吸収した結果、完成形に統一感がなく「特徴がないのが清水焼」と地元の方々に言われる始末。まさに器用貧乏、ここに極まれりってカンジなんでしょうか。

が、不思議なことに清水焼のうつわは何も言われずにうつわだけを目の前に置かれてもなんとな〜く「あ、これは清水焼だな」とわかることが多いんです。しかし、今後もこの『なんとな〜く』で良いのだろうか?いや良くない!!そもそも本当に文化として器用貧乏ならすでに淘汰されているハズです!無責任に「特徴がない」なんて言えません!

ということで今回は特徴がないとは言わせない、清水焼の魅力を言語化してみよう〜の話です。

【清水焼は装飾技法そのものが魅力】

 さて結論から申し上げますと、私は清水焼を『装飾技法そのものを味わう陶磁器』と考えています。うーん、我ながら早速明言できていない。言語化って難しい…

そうですね〜、ここは有田焼を例に取ってみましょう。

 清水焼と有田焼は作風に共通点が多くあります。磁器・陶器の両方を製作しますし、赤絵、染付、金襴手を得意とします。しかし両者では魅せ場が違うんです

 まず有田焼の根底にあるものは素地となる磁器への絶対的クオリティだと考えています。日本国内ではじめて磁器の素材が見つかったことで栄えた有田焼は、海外上流階層の注文に対して試行錯誤を繰り返した末に生まれた雪のような柔らかい白磁を生み出しました。この生地は世界でも屈指のクオリティを誇り、あのドイツの名窯にして西洋磁器の祖であるマイセンが起業時に手本とするほどでした。

 有田焼の最高峰・柿右衛門様式を見ると分かるのですが、有田焼って空白の美なんですよね。繊細でみずみずしい絵も言葉を飲むほどなのですが、これは余白の生地の美しさがあってこそ。有田焼の装飾を楽しむ土台にはあの生地があるのです。

【清水の美しさはどこから?】

 対して清水焼はと言いますと、高度な装飾技法そのものに味があるような気がします。清水焼の絵付けを見ると器面の大半を装飾が占めています。器面全体を吉祥文様で埋め尽くす祥瑞(しょんずい)や赤と金が器面を覆う永楽。抹茶椀を見ても仁清写あたりは器面を埋め尽くしていますね。

 この『器面を埋め尽くす』というのは石川県の九谷焼に共通しています。石川県、もとい加賀藩も京都に負けず劣らずの日本文化の交差点。なにかと共通点が多いのです。

 そんな九谷焼の事例も含めて考察しますと、装飾技法の発展には①覇権・有田焼の対抗策。②文化交流の地ならではの多文化融合。この2点が大きいのではないでしょうか。

①覇権・有田焼への対抗策

 土の工芸である陶磁器において、生地のクオリティというのは残酷なまでに完成度の差を生みます。一大ブームとなった伊万里焼を追うように国内各地で磁器生産が進められるのですが、世界最高の生地を要する伊万里焼に対して後発組はかなり苦心することになります。

 九谷焼はこの生地のクオリティを埋められず一度滅びるのですが、後に復活を遂げた際に(当時は)粗悪であった生地が露出しないよう器面全体に絵を施したというのです。そう、売りを変えて生地のクオリティ差から意識をそらせたのです。

 現代の九谷焼は生地のクオリティが高水準になりましたが、器面を埋め尽くす装飾は伝統技法として今もなお残っています。清水焼も伝統技法を注目すると、九谷と同じく器面全体に装飾をする傾向があります。もしかすると伊万里焼とは違ったアプローチを求めた結果、装飾技法が発展していったのかもしれません。

②文化交流の地ならではの多文化融合。

 九谷焼のお膝元、かつての加賀藩は伝統工芸に手厚い支援を行ったことで京都と同じくらい多種多様な伝統文化が残っています。こうなると起こるのが伝統工芸の技術交流です

 九谷焼の絵付けには京都の日本画師を招いた技術の上に友禅などの絵付け技法が基盤にあります。特徴的な牡丹の絵がよくわかりやすいのですが、構図や色使いなど着物にニュアンスがよく似ています。

 清水焼はというと、江戸初期に清水焼の興りに大きく関わった野々村仁清が大和絵や水墨画からヒントを得て絵付けを磨いてきました

現代の清水焼でも和菓子の練り切り技法を取り入れた作陶をされている方なども見受けられます。このように多様な文化が集まる場所では、技術的な交流が行われ新しい技法として定着していくのです。

 

 ということで結論!清水焼の特徴、それは様々な伝統工芸から取り込まれた日本文化の粋をうつわ全体で味わえる陶磁器ということになりますね!

清水焼の装飾技法は積み重ねた文化背景そのもので、非常に多くの装飾技法が楽しめます。まさに日本文化装飾技法の宝庫ともいえる、いつまでも見ていて飽きがこない清水焼。みなさんも清水焼を見るときはぜひ模様の豊富さに目を向けながら観賞してみてくださいね。

次回は清水焼のお膝元、京都のうつわ散策です!それではまた~!

店主紹介
気楽なスタッフ
気楽なスタッフ
数寄者兼サラリーマン
現在20代後半。大学生の時に観たドキュメンタリーがきっかけでうつわに魅了され、気が付けば日本文化の魅力にハマる。

「ひとりでも多くの人に日本文化を楽しんでほしい!」をテーマに、くらしで楽しめる日本文化を研究中!

とくに日本陶磁器には目がなく、いずれは販売店を持つべく画策中である。 一番のお気に入りは画像でも使用している九谷焼の花詰盃。もうね、たまんないよコレ。

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