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備前焼ストリートの名宿「常盤旅館」

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いらっしゃいませ!前回は備前焼のふるさと、備前市伊部地区の様子をお届けいたしました。

 産地訪問といえばそう、旅館訪問記ですね!関東圏在住のスタッフにとって産地訪問は遠征もいいところです。といのも現在の焼き物名産地は茶の湯が流行し始めた室町~戦国時代に発達したところが多く、加えて当時の陶磁器生産はほぼ国営だったこともあり都があった京都を中心に栄えました。江戸時代に磁器輸出が盛んになった際は貿易拠点の九州付近で焼き物が発達し、有田焼は今でも一大産地になってますね。

 そうです。焼き物産地って基本的に西日本なんですよ。東日本にも九谷焼や美濃焼など全国区クラスの産地はございますが、西に比べると圧倒的に少ないですね。産地研究に行くには時間も金も必要になるのです。西日本に住もうかなぁ!?

 ともかく私にとって産地訪問と旅館宿泊は切っても切れない縁にあるわけですね。まあこれも含めて楽しんでいるのもまた事実。今日も私は嬉々として食事付き旅館に泊まるのです!

 というわけで備前の町で泊まらせていただいた旅館は焼き物ストリートのど真ん中にある常盤旅館ですね!こちらの旅館は創業100年以上の歴史を持つ老舗旅館。まさに備前焼の発展とともに歩んできた旅館で、地元の備前焼生産者とも交友が深い宿です。宿の女将さんに備前焼の勉強をしに来たとお話ししたところ、窯元見学のアポまで取って頂いたほどです。(どこもかしこもコロナ禍で自粛している時だったのに、その節は本当にありがとうございました…笑)

 客室は和室タイプ。客室細部に備前焼が飾られておりますので、ここを鑑賞するのも楽しみのひとつです。初めて備前に来たときは丁度アジサイの季節でしたね。客室の備え付け急須も見事な窯変。急須の馴染み方からしてかなり使い込まれており、ふとしたところから歴史を感じずにはいられません。ちなみにこの湯呑セットで備前焼による飲み物の舌触りの変化の実験をしました。

 常盤旅館さんといえば、なんといっても料理!備前市は瀬戸内海に近い山間部。山海の幸が豊富で、季節の移ろいを楽しむことができます。料理は地元でも評判で、伊部を散策している際にも窯元の方と常盤旅館に泊まったというお話を何度かしたのですが…

「あら、常盤旅館さん!ご飯は食べた?料理がいっぱい出るから凄いのよ~。」

「常盤旅館さんに泊まってるの!あそこの食事凄いでしょ、食べきれた?」

「常盤旅館さんか~!」「あそこは料理が豪華でね、とにかくいっぱい出るの!」

 …なんか皆さんやけに料理が多いことについて言及なさるんですよね。もちろんこの後は美味しいと聞けるのですが、開口一番に出てくるのは料理がいっぱい出てくるということ。私自他ともに認める小食なんですが大丈夫でしょうか?とはいえ旅館の料理なんてコースですし、そりゃ多くも感じますよね。それにここまで地元でも有名なら料理の期待もできそうです!

 というわけでその日の夜、待ちに待ったお食事とご対面するのですが

す、すげ~!!なんだこの量は!?主菜4つねえか!?

 しかも一人につきおひつ1個ドーン!!ちなみにこのコースたしかランクとしては並で、これよりも上があるんですよね。だとしたら何が…というかどれくらい出てくるというのでしょうか。

 あまりの量に面食らいましたが、落ち着いて見てみると期待通り備前焼が沢山いますね!!食卓で活躍する備前焼が見たかったんです!磁器や漆器とも調和しており素晴らしいしつらえです!

 やはり瀬戸内海に面しているということで海鮮料理が目につきますね。天ぷらも入れていいなら5種もあります。この日はボラが大漁だったということでボラのフライが出てきました。

 どんな料理を乗せても料理に目線がいくうつわ、備前焼。正確に言えば料理とうつわが調和していますね。何を乗せても料理が様になるのはホント凄いですよ~。これだとこの料理は合わないな、なんてことはザラにありますからね。

 さっきから見栄えの話ばっかりしてますけど、肝心のお味はと言えばこれがまた素晴らしいと言う他なくてですね。肉、魚、野菜と何を食べても美味しい!特にボラはシーズンということもあり身が締まってて美味しかったですね~!フライにすることで旨味が逃げることなくしっかりと頂けました。方向性としては肩ひじ張らずに地元食材をしっかり生かした味わい。ザックリいうとプロが作った家庭料理です。この暖かさが良いんですよね~。量・質ともに大満足でした!

 伊部は静かな町なので、中心地とはいえ夜は静かで快適に過ごせますよ。ちなみにお風呂ですがこちらも家庭的です。ストレートに言ってしまうと、大き目の家庭用浴槽でした。まあ町中の旅館なのでここは仕方のないですが…お風呂に旅情を置いている方はご注意を。最寄りの銭湯も隣駅なので、ここさえ割り切れれば問題ないかと思います。(ただしここ数年で改装があったため現状は不明。)

 備前焼をガッツリ見たい方には非常におススメの旅館ですので、ぜひ利用してみてくださいませ!!

翌朝…

  良かった、朝は結構普通の量だ!おひつドーンだけど!!

でもこれ、かなり理想的な朝ご飯ですよね。個人的に甘くない梅干しで満点です!

ではまた~。

店主紹介
気楽なスタッフ
気楽なスタッフ
現役サラリーマン
現在20代後半。大学生の時に観たドキュメンタリーがきっかけでうつわに魅了された男。

「ひとりでも多くの人がうつわに込められたメッセージを楽しんでほしい!」をテーマに活動すべく、個性豊かな愛用のうつわに振り回されつつ生活をしている。

愛用のうつわは笠間焼、備前焼、九谷焼きなど日本陶磁器が中心。西洋磁器はウェッジウッド、マイセンがお気に入り。食空間コーディネーター3級を持っています。

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