グルメ

美濃焼の里の料理屋旅館「料理旅館 牧ヶ洞」

ssyouhei

 いらっしゃいませ!

 今回は前回の記事群、「第48回土岐市美濃焼まつりに行ってきました」の番外編にあたります。もしよければそちらもご覧下さいませ!

 さて、突然ですがみなさま「旅のマイルール」はありますか?旅をする上で外せない点。「旅先で必ずこんなことをする!」といったポリシーみたいなものですね。

 私は「バイキングではない夕食と朝食が出る宿に泊まること」をマイルールにしております。もちろんこれはうつわの探究者としてですね!

 というのもうつわが料理でどうやって使われるか知りたいんですよね!まだまだ勉強の身、とにかく実例を吸収したいんです。これがうつわの産地が近いと、そこのうつわを料理で使ってくれるので尚更吸収できる知識が増えるのです。2日目に買い込むうつわが増えてしまうデメリットもありますが。

 この前提として「視覚効果がもたらす料理の味わい」について語ろうとしたのですが、試し書きしたところ序論の時点で段落を3つも打ちやがったので今回は割愛。別の場所でお話します。我ながら長えんだよ。

 というわけで今回の旅で泊まらせていただいた旅館は「料理旅館 牧ヶ洞(まきがほら)」さんでございます。前回の記事どおり、実は別に目をつけていた旅館が満席となり、代わりに宿泊した旅館なのですが、結論から言うと「ここが良かった」ってレベルの宿でございました

 こちらの旅館は土岐市より車で40〜50分ほど北上した白川町、飛騨川の雄大な流れを目下にひっそりと佇む隠れ家的旅館です。川魚をはじめとした旬の食材を活かした料理が評判なのだとか。テニスコートが併設されており、フロントで話せばテニスに興じることも。(女将さん曰く、ラケットの貸し出しもしているが、グリップの劣化で手の汚れがすごいとの事。お風呂入れば実質ノーリスクである。)

 ちなみに同じく岐阜県の観光地といえば白川郷がございますが、こちらの白川町とは全く関係がございません。白川郷は大野郡白川村(県北、今回の旅館は加茂郡白川町(県南寄りです。岐阜はデカいので「白川郷見に行くついでに美濃焼見ていこ~!」って旅程を組むと大変な目に合いますのでご注意を。

 話を旅館に戻しまして…これまでそれなりの旅館に泊まってきた私。目と舌は肥えている(ハズ)。そう簡単に満足はできません。

 客室に入ってまず目に止まったのがこちら。正式名称を知らないので「備え付けの浴衣で座ると多幸感が物凄いゾーン」とでも呼びましょうか。これがあると100点満点です。

 ここの空間で白川名産・白川茶を飲んだ日にはもう殿堂入りでございます。白川茶、すっきりとした口当たりから湧き上がるコクが堪らないお茶でした。

 スタッフが些細な事で幸せを感じるハッピー野郎と伝わったところで、いよいよ本題のご飯といきましょう。料理旅館を名乗るくらいですからね!はたしてどんな料理が出るのでしょうか?

 お写真は夕飯のつき出し。右上から時計回りで炙りたけのこ、鯖の押し寿司、ホタルイカの酢味噌あえ、たこわさですね。中皿に懐紙を敷き、珍味入れと呼ばれる小皿を敷き詰めたセッティング。全体的に緑でまとまっており、ガラスのうつわが光を演出。新緑の時期に相応しい盛り付けですね!旬を迎えた食材も味が良く、ひと口サイズとは思えないほどに美味でした!

 珍味入れは単体でも香の物を入れるなどの用途もありますが、皿の上に置くと味が混ざるのを防いだり、料理一品に目が行きやすくなるなど視覚的効果が出ます。仕上がりも上品になりますし、これは勉強になりますね!おかげさまで2日目の美濃焼まつりで珍味入れを買いあさるスタッフの姿が見られました。なんて単純な。

 川魚はやはり塩焼きが格別。素材を味を突き詰めると、いつも塩に辿り着きます。こちらの魚はアマゴといいまして、ヤマメに極めて類似した岐阜県南部などに生息する淡水魚。初めて聞く名前の魚であったため生息地を調べてみたところ、見事に私の活動圏から外れておりました。とはいえ前述のとおり見た目も味もほぼヤマメ。淡白に引き締まった身が絶品です。

 彼らが生まれ育った飛騨川は激しくも美しい山岳地帯の渓流。食器の銀彩は水面の光のようで彼らが過ごした環境を思わせます。そういえば雑誌か何かの記事で読んだのですが、都内の寿司屋でキンメダイの寿司を素朴な焼き締めの皿で提供される店があるようですね。なんでもキンメダイは深海魚だから、海底をイメージして皿を選んでいるのだとか。食材が育った原風景を意識するのも食器選びのコツといえますね

 天ぷらは旬の山菜とホタルイカ。旬を迎えたホタルイカ2度目の登場です。ただし酢味噌で食べたそれとは味わいが大きく異なり、天ぷらになるとより濃厚でクリーミーな味わいに。塩がよく合います。塩が珍味入れに盛られているのがまた素晴らしいですね。皿に直盛りだと運んでいる最中に塩が天ぷらにつきすぎて辛くなったり、皿の色次第では塩の残量が分かりにくくなったりしてしまいます。

 天ぷらといえば子供のころは天つゆでひたひたにして食べるのが好きでしたが、今やすっかり塩派になりました。時折ノスタルジーに駆られて天つゆで食べるのですが、やっぱり塩が美味いという結論に至ります。一体いつから塩派になったのでしょうか?

 そして今回の食事で1番美味しかったのがこちら、2日目の朝食にて提供された朴葉味噌(ほおばみそ)。飛騨牛のすき焼きや鯛の煮付けを差し置いて私の心を射止めたこちらは岐阜県の郷土料理。朴の木の葉っぱの上できのこや野菜を混ぜた調味味噌を炙る代物。これがご飯にめちゃくちゃ合うんですよ。なんだコレ…マジでなんなんだ。あまりにも美味すぎる。

 近隣の宿を探していた時、コース料理の内容等も目を通していたのですが、ありとあらゆる旅館のコースが「飛騨牛のしゃぶしゃぶ!」「飛騨牛のしゃぶしゃぶ!!」「飛騨牛のしゃぶしゃぶ!!!」となっておりました。飛騨牛以外にないんか!!と行き場のない感情を抱えていた時に味わったこの郷土料理。実に沁みましたね〜。有名なものはなるべくしてなるものですが、こういった全くのノーマークから感動の出会いというのもまた良いものですね!(ちなみにこちらの旅館の最上級コースも飛騨牛です。鉄板焼きではございますが。)

 料理はもちろん、うつわの使い方まで一流。まさに料理旅館の名にふさわしい最高の食事を味わうことができました!大満足です、ごちそうさまでした!!

 ちなみにこちらの旅館は飛騨川を見渡せる展望の湯も売りのひとつ。こちらも楽しみにしていたのですが…夜間は言うまでもないですが、朝風呂の際は冷え込んだタイミングということもあり、浴室内の寒暖差で窓が曇って何も見えませんでした(笑)展望したい方は夏を狙いましょう。

 そんなこともございましたが、山奥の静かな旅館という事で心身ともにゆったりと過ごすことができました!また泊まりたいですね!

スタッフ「すげええええ!茶柱立ったあああああ!!毎日お茶入れてるけど初めて見た!!!!」

友人「そんなにはしゃぐことか(笑)」

おしまい。

店主紹介
気楽なスタッフ
気楽なスタッフ
現役サラリーマン
現在20代後半。大学生の時に観たドキュメンタリーがきっかけでうつわに魅了された男。

「ひとりでも多くの人がうつわに込められたメッセージを楽しんでほしい!」をテーマに活動すべく、個性豊かな愛用のうつわに振り回されつつ生活をしている。

愛用のうつわは笠間焼、備前焼、九谷焼きなど日本陶磁器が中心。西洋磁器はウェッジウッド、マイセンがお気に入り。食空間コーディネーター3級を持っています。

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