グルメ

信楽の地の老舗旅館・平岡家

ssyouhei

 いらっしゃいませ!

 今回は信楽焼の旅先で利用した旅館をご紹介いたします。焼き物産地に近い旅館は食器を使う腕前も高いので勉強になります!地元の味も堪能できるので、食器が好きな方はぜひご利用くださいませ!

 さて今回泊まらせて頂いたのは平岡家。信楽駅より車で3分ほど、陶美通りと呼ばれる道の中間地点にあたる場所にある老舗旅館です。歩いていけなくもない距離感ですね。

 町中にある旅館なのでパッと見た外観は小さな旅館ですが、奥行きがだいぶ広いです。エントランスに入ると向かえ花がお出迎え。この日は立派な半夏生が咲いておりました。信楽焼が茶陶で栄えた歴史もあるせいか、信楽町は花生け文化が盛んです。信楽焼の売り場でも花を活けている店が多くありました。

  平岡家さんも例に漏れることなく廊下から客室まで、いたるところにお花が沢山生けてありました。こちらの花は旦那さんが担当されているようです。なんでも華道の皆伝をされているようです。生け方など大変参考になりました。

 工芸品や美術品の飾りも多く、ちょっとしたギャラリーのような賑やかさ。こういうのに結構興味があるクチなので見ていてとても楽しかったです。宿泊されるお客様も芸術系をたしなんでいる方が多く、宿泊された方が自身の作品を置いていくこともあるのだとか。

 中でも目を引く位置に飾られていたのがこちら。岡本太郎の直筆画。実は信楽の地と岡本太郎には縁のある地なのです。彼の代表作・太陽の塔の黒い太陽の部分。あれは信楽焼で出来ているのです。あの部分の製作するために岡本太郎は信楽の地に2か月ほど滞在したようなのですが、その時にこの平岡家を利用されたようです。

 こちらの旅館は料理が美味しいということで評判のお店。旅館にもかかわらず料理専門の情報紙に掲載されているほどです。もしかして食事のみも利用可能なんでしょうかね?パンフレットを見る限り要予約ながらそのような記述内容です。

 平岡家さんは地元の食材と食文化、そして信楽のうつわを使うことに拘った旅館。先代料理長より技を継承した主人が腕を振るっております。先代料理長が京都の料理人だったということもあり、お出しされる料理は本格的な京風料理。これには地理的に京都が近いことも影響しているのでしょう。

 おなじ料理でも材料や食べ方が違ったり、実に興味深い食事でした。鮎の塩焼きは関東圏ではシンプルな塩焼きが多いのですが、関西圏では蓼酢(たでず)なるものに漬けて食べるようですね。強い塩味を柔らかい酸味と甘みが和らげてくれます。焦げ目の苦みと身の旨味も加わって五味の味わいでした。赤いこんにゃくも初めてみましたね…こちらのそれと比べて触感はやや硬めで歯切れもよい感じ。文化圏の違いを強く感じましたね。

 ちなみに気が向いた際は奥様も料理を振るうようです。奥様は薬膳を学ばれていたようで、この日も睡蓮の葉のちまきご飯を頂きました。蓮の葉には増強効果があり、心機能等に効果があるそうですよ。

 今回の宿泊プランは2食付きだったのですが、朝食はもう100点満点の内容でしたね。それにしてもどこの宿に泊まっても朝食はご飯・焼き鮭・卵焼きのスタイルになるのが面白いです。ほんと綺麗にこの様式になります。夕食は地域柄が結構出るんですけどね。(例の赤こんにゃくは朝に出たんですけどね。)

 さてここまで平岡家さんの魅力を多く語ってきましたが、写真には残せなかったところも素晴らしかったです。信楽の地までは電車で来たのですが、当日私はスーツケースを抱えていたのですが、平岡家さんに電話したところ、なんと車で駅までお越しいただいた上にスーツケースのお預かりまでしていただいたのです!おかげで一日目は快適に移動することができました。

 さらに夕食後に体調が優れなかった同行者のために、栄養価の高い煮詰め梅を持たせてくださり、終いにはチェックアウト時に車で駅まで送ってくださるという至れり尽くせりっぷりです。まさかここまでしていただけるとは思いませんでした。そりゃ最初電話した時はお世話になる気満々でしたけども

 信楽の地は自然、文化、食、人柄と様々な豊かさにあふれた素晴らしい町でした。辿り着くのに一苦労…という点は正直否めませんが、それでもこんなにも素晴らしい体験をさせてくださったことには本当に感謝しております。今回の旅も、素敵なご縁に恵まれました!

 以上、信楽焼のレポートでした!それではまた~!

店主紹介
気楽なスタッフ
気楽なスタッフ
現役サラリーマン
現在20代後半。大学生の時に観たドキュメンタリーがきっかけでうつわに魅了された男。

「ひとりでも多くの人がうつわに込められたメッセージを楽しんでほしい!」をテーマに活動すべく、個性豊かな愛用のうつわに振り回されつつ生活をしている。

愛用のうつわは笠間焼、備前焼、九谷焼きなど日本陶磁器が中心。西洋磁器はウェッジウッド、マイセンがお気に入り。食空間コーディネーター3級を持っています。

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