益子焼を歩こう!〜益子焼散策ルポ〜

いらっしゃいませ!
いや~間が空いてしまって申し訳ありません。ここ1ヶ月かな~り立て込んでおりました。前回の予告通り、今回は益子焼散策ルポです!!
先日益子焼の拠点でもある栃木県益子市を訪れました。ほんとは年始に行くはずだったのですが体調を崩しまして…。今回はそのリベンジというやつですね。これを機に益子焼の散策ルポでも書こうかなと思っておりました。
とはいえ益子焼は私が大学生の頃から何度も訪れている、私にとって庭も同然の町。今更訪れるまでもなく、散策記事を書き上げることなどお茶の子さいさい!!
…なーんてタカを括ってました。益子焼の変化が凄まじいですね近年は!!なんなんですかあれは。本当に同じ町ですか?
ここは気を引き締め、初めて訪れた産地くらいのモチベーションで関東最大規模の焼き物産地・益子焼の様子をお届けいたします!!
なお今回は日帰りプランのご紹介です。普段は産地に泊まって散策時間を確保する私ですが、ありがたいことに益子は日帰りで散策できるのです。ビバ益子焼。

さて、益子焼は最寄り駅・益子から散策が始められます。車でお越しの方は焼き物メインストリートの入り口・城内坂交差点のエネオス裏手にある無料駐車場をご利用ください。焼き物イベントがない休日ならスムーズにご利用できますのでおすすめですよ。

益子焼は城内坂交差点から本格的な焼き物ストリートが始まります。
駅から散策される方は交差点までそこそこ歩くのですが、駅前から城内坂交差点への道は地元の色が強く残る商店街。伝統的な益子焼販売店や木工芸が豊富な民芸店、食べ歩きできそうな店があったりとこれはこれで魅力的です。レンタルサイクルができる場所もありますので積極的に利用しましょう。坂道なので電動アシストがあるといいですね!



益子のメインストリート・城内坂はまさに焼き物ストリート!大通りを挟んでズラ〜っと益子焼販売店や窯元が連なります。老舗のギャラリーから新進気鋭の若手作家、食事処を併設した窯元まで!元々職人気質の産地だった益子焼はその名残が強く、値段が結構安いです。ワゴン商品なんて目を疑う価格です。
前回のコラムでも書きましたが、昨今の益子焼は笠間の影響か作家色が強くなっています。ただよく見ると色味や土の風合いに確かな「益子焼」を感じるものが多く、見ていて非常に興味深い産地です。伝統を残しながら発展をするのが非常に上手い産地ですね。
私、六古窯や大型産地など人並みに焼き物産地を回っている方だとは思いますが、益子焼ほど散策が充実している産地は知りませんね!カフェ併設ギャラリーは今やどこにでもあると思うのですが、この密度でギャラリーや窯元が連なっているのは益子焼くらいではないでしょうか?まさに焼き物のテーマパークと言えましょうか。

大きな狸が目印の益子焼共販センターが見えたら焼き物ストリートの中間地点。ここより奥は昔ながらの店や個人店が点在するエリアになります。
益子焼共販センターはかつては手放しでオススメできたのですが、正直に申し上げると最近はやや見劣りしてしまいますね…。以前は質の高いギャラリーがあったのですが、そこが閉鎖されてしまいました。共販エリアもあるのですが、順路的に活きの良い焼き物ストリートのギャラリーを先に見たあとでは物足りなく感じてしまいました。
とはいえこの益子焼共販センター、歴史ある益子の名手の作品が安く売られている穴場だったりします。伝統的な作品をお探しの際はぜひ。
順調に散策をしていれば益子共販センターにつく頃にはランチタイム。焼き物ストリートにもご飯どころは充実しています。おすすめは城内坂をひたすら進んだ先にあるT字路の脇に立つ蕎麦屋 名水さん。地元の陶芸家も良く足を運ぶこのお店は香り豊かな蕎麦が食べられるのですが、あいにくこの日は定休日…。

ということでこの日は共販センターの向かいにあるほっと・る~む けやきさんに決めました。こちらは大型窯元・やまにさんが運営するカフェ。中に入ると意外にも席数が多く、洋食系のメニューも豊富なのでしっかり食べたいときも、散策のひと休みにもオススメです。

とくに美味しかったのがこの柚子チーズケーキ!!レモンチーズケーキとは違ったアプローチを仕掛けてくるさわやかな味わいは絶品です!!
ランチを食べたあと散策も後半戦。往路とは反対側の通路を歩くだけでも時刻はすでに15時前後。目星をつけた作品を購入したら、帰る時間にはちょうどいい塩梅になるかと思います。それでは最後に、今回の散策で注目したスタッフ一押しのお店をご紹介しましょう!
⭐︎陶庫

メインストリート城内坂に入ってすぐにある蔵造りのお店。作家による展示スペースがありながら常設商品も非常に豊富で、陶磁器以外にもさまざまなアイテムが揃っている。時間がない時は最優先で見たいお店。
⭐︎陶房なかむら

茶道をやられている方はぜひ覗いて頂きたいお店。2階に茶室を構えるほど茶道に強く、茶杓630円など稽古道具はここが最安値。実は益子焼は大規模茶会が行われるほど茶道が活発なのだ。
⭐︎青龍窯
風格のある店構えは伊達ではなく、木箱入りの本格的な陶磁器を生産している。

作風は美濃焼の影響を強く受けているのが見受けられるが、厚みのあるダイナミックで野生的な造形はインスパイア元では味わえない魅力にあふれている。出来栄えの割に意外と安いのもポイントだ。やや入りにくい印象を受けてしまうかもしれないが、使うと楽しそうな作品ばかりなので一見の価値あり。
⭐︎陶房ましやま

新進気鋭の若手作家が集う大きなお店。ここ数年でできたのだろうか、はじめて目にしたお店だ。
作家色が強い分、中には個性的な作品が多く揃っており、益子焼の進化を存分に堪能できる。「どうやって使おうかな?」と考えるだけでも楽しいうつわ体験ができるお店だ。
⭐︎益子焼やまに

人気ナンバーワンを聞かれたら間違いなくこの窯元。もはやイチ窯元の域を超えており、陶磁器販売だけでなく飲食店や物産展、ギャラリーなど幅広い業態に手を伸ばしている。
時代に合わせた使いやすい益子焼を多く取り揃えており、お土産にもぴったりな品が買える。前述のカフェ、ほっと・る~む けやきも運営していて、こちらで提供される食器ももちろんやまに制作。ここでご飯を食べた後で買い物をすれば、使用感をイメージしやすい。
⭐︎陶芸の丘 よこやま

スタッフがはじめて益子を訪れた時から通っている窯元。素朴な益子の美しさをしっかりと残しつつ、リーズナブルで現代の食卓でも使いやすいうつわが多く揃う。
隣には大きなギャラリーがあるのだが、開けていただくにはスタッフの方に声を掛けないといけない。申し訳なさに打ち勝つ勇気があればぜひ覗いてほしい。このギャラリーで購入した2,500円の湯飲みは、未だに欠けひとつ無く私に寄り添ってくれている。

こうして振り返ってみると、益子焼は散策していて充実感が非常に高い産地ですね。駅近、ギャラリー同士の距離感、散策のアクセントになるお店がバランスよく配置されているので気持ちよくみることができます。本当に楽しいですよ、益子散策。焼き物好きな方は絶対に一度行くべきです。太鼓判押しちゃいます!!
ということで今回は関東最大規模の焼き物産地・益子焼散策をお送りいたしました。それではまた~!