趣味の料理

朴葉味噌が食べたいので作ってみよう。

ssyouhei

いらっしゃいませ!

さて、先日投稿した記事はご覧いただいたでしょうか?

美濃焼の里の料理屋旅館「料理旅館 牧ヶ洞」|器楽〜気楽にはじめるうつわ生活〜 (kirakuniutuwa.com)

 今回はこちらに記事にも登場したある料理が主役のお話です。

 そう、この方。朴葉味噌です。

 岐阜県の旅から帰ってきてからしばらくの余韻に浸っていたのですが、そのうちの半分を占めていたのがこの朴葉味噌でした。いや冗談抜きで。それくらい衝撃的でした。あの料理をもっと食べたい…!わずか少量ながらも恐ろしいほどご飯が進む、あの料理が食べたい!!

 ならば答えはひとつ。自分で作ってしまいましょう。実は感動のあまり、旅館の方から具材やレシピを一部聞き出している。こういう料理屋の方は使っている食材や調味料・作り方を聞くとある程度教えてくれるのです。完全再現はしなくとも、日々の自炊のスキルアップにつながるのでおススメのライフハックです。

 さて、飛騨牛を差し置いて私の心を射止めたこの料理について、改めて調べてみましょう。以下情報は農林水産省のホームページ『うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味』より引用したもの。どうやら私が調べたいことは大体農林水産省のホームページに載っているみたいですね。

 朴葉味噌とは山岳部特有の落葉樹である朴の木の葉の上で自家製麴味噌を焼いた、飛騨・高山地域に伝わる郷土料理。朴葉には抗菌作用があり、包むと食べ物が日持ちし、良い香りが移りおいしくなる効果があります。大航海時代に胡椒が重宝された理由と全く同じですね。

 一説によれば林業が盛んだった飛騨地域で、山仕事を生業とする杣人(そまびと)たちが、山で朴葉を皿代わりに焼き味噌をしたのが始まりといわれています。そもそも飛騨・高山地方の冬は食材が凍るほどの寒冷地であったため、囲炉裏の火に朴の葉を敷き、漬物や味噌などを温めながら食べていたようです。杣人の皆さんからしたら「焼いたら美味しい!」じゃなくて「解凍しないと食えねえ!」ってことだったんでしょうか?

 その後一般家庭にも普及し、昭和40年代には土産物としての販売も始まったほどこの地域では愛されるようになったのだとか。秋の落葉シーズンに朴の葉を集めて保存し、この料理に使用するようですね。そこまでする価値があるほどには朴の葉は香りが芳醇です。なにせこの私、実際に朴の葉をちぎって口に含み、風味を確認したくらいですからね。朴葉味噌を焼く方法は原典通り炭火が一番ですが、現代のホットプレートやフライパンでも朴葉の香りが引き立ちおいしく焼くことができるようです。

 さらに昨今では朴葉の上に味噌だけでなく、飛騨牛やキノコやネギなども一緒に食べる朴葉味噌も登場しているとのこと。なるほど、私が先日食べた朴葉味噌がまさにこのスタイルでした。彼はトラディショナルスタイル朴葉味噌ではなく、モダン朴葉味噌だったわけですね!

 概要を掴んだところでさっそく作ってみましょう。               この料理におけるポイントは二点。「香りづけに朴の葉を使用する。」「自家製麹味噌を使用する。」のふたつです。この二点を押さえることが朴葉味噌たらしめる要因のようだ。

 では仕事上がりに思い立った独身男性の自宅でどこまで再現できるでしょうか?まず朴葉を使用する。まずこれが無理だ。平野部に住む私の生活圏には朴の葉のホの字もありません。楽天市場で20枚入りが売っているのが確認できましたが、そもそもその半額の値段で200gの朴葉味噌がアマゾンで売っていました。原料を買うならアマゾン翌日便で既製品を買ったほうが早いという本末転倒ぶり。これに関しては見なかったこにする事で敗北感を無効化することに成功します。

 次に自家製麹味噌。これもまあ無理なので、せめて麹味噌を使用することで妥協させていただきます。が、この突発的欲望のために麹味噌を買うのも勿体ないので、今愛用している味噌が麹味噌であることを願うばかり…。ちなみに私の愛用味噌は長野県は善光寺平。かつて長野県に住んでいたこともありますが、非常に味のバランスがいい万能味噌。トガった得意分野こそなくとも、幅広いシーンで使える万能米味噌です!

…さてまとめると朴の葉もなければ、麹味噌もない。つまり私は今から朴葉味噌を名乗る別物を作ろうとしていることになるのです。インドを目指してアメリカ大陸を発見したコロンブスもこんな感じだったんでしょうか?

 しかしそれがどうした。埼玉県を中心に展開されている焼き餃子チェーン・ぎょうざの満州のキャッチフレーズは「3割うまい!!」である。打率3割で商売ができるなら、自炊なんて1割もあれば十分ではないでしょうか。ありがとう、ぎょうざの満州。あなたの言葉はいつだって前に進む勇気をくれる。

 ということでさっそく調理。今回使用する具材はえのきと1/4小口切りのネギ。これは牧ケ洞産のレシピを参考にしてます。さらにご飯が進むよう、豚肉のコマ切れを入れました。

 ここにみりん、麹の香りの代替品として料理酒を入れ、アルコール分を飛ばしたのちに固形が維持できるくらいの味噌を投入。もんじゃ焼きのように薄くのばします。これを徹頭徹尾弱火で焼いていきます。本場の朴葉味噌の炙りは炭火や固形燃料など弱火でじっくり行なわれるためですね。

 味噌の表面がふつふつしてきたら舐めて味見。やや塩っ辛いので砂糖を入れて調味。程よいところで2分くらいしたら火を止めます。できたものはタッパーで保管。食べる分だけ皿にのせて…

完成!!朴葉味噌風、ご飯が進む肉味噌!!

 もはやオリジナル料理として確立されてしまいましたが、ご飯が進む味噌料理というコンセプトは完璧!!甘しょっぱい味噌に絡んだ肉、ネギ、キノコがさらに食欲を後押し!!我ながらこれは3割の出来栄え!つまりは完璧ってことですね!!

 これはもう余計なものは添えないでシンプルに、存分にご飯を食べるとしましょう!!とはいえ汁ものくらいは欲しいですね…。先日の残りの鯛のお吸い物よそって…これで良し!!いただきまーす!!

…『雨ニモ負ケズ』!?

店主紹介
気楽なスタッフ
気楽なスタッフ
現役サラリーマン
現在20代後半。大学生の時に観たドキュメンタリーがきっかけでうつわに魅了された男。

「ひとりでも多くの人がうつわに込められたメッセージを楽しんでほしい!」をテーマに活動すべく、個性豊かな愛用のうつわに振り回されつつ生活をしている。

愛用のうつわは笠間焼、備前焼、九谷焼きなど日本陶磁器が中心。西洋磁器はウェッジウッド、マイセンがお気に入り。食空間コーディネーター3級を持っています。

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