信楽焼

緋色の陶園・信楽の町訪問記

ssyouhei

 

 いらっしゃいませ!前回は信楽焼の産地へ行ってきたご報告と、お土産の自慢をさせていただきました。今回は信楽焼の産地訪問記です!これから行かれる方も参考になるかと思いますので、ぜひご覧下さいね!

 信楽焼の故郷は忍者の里・滋賀県甲賀市これ「こうか」って読むんですね。ずっと「こうが」って呼んでました。信楽高原鉄道の終点に位置する山奥の町。電車は1時間に1本、編成車両は1~3両と絵にかいたような里山地域。しかしこの豊かな自然と山岳の傾斜こそ、一大産地の必須条件な訳ですが。

 ちなみに私は関東圏の人間なので、名古屋から私鉄を乗り継いできたのですが…この場合気を付けたいのがICカード利用で乗り継いだ場合。名古屋から在来線で行く場合は亀山駅で乗り換えになるのですが、ここら先は電車の運営会社が違うのでICカードが使えなくなるんですよね。まあ駅員さんに言えば翌日以降でもIC対象外区画の利用分の引き落としができますので、その際は駅員さんに言って乗り越し証明書を貰っておきましょう。

 信楽高原鉄道の終点・信楽駅を降りれば信楽焼のシンボルであるたぬきの焼き物がお出迎え。ここに来るまで多くのたぬき(陶器製)がいましたが、さすが本拠地。数が違います。いたるところにたぬきの焼き物。車窓からも見えました。

 信楽駅に着いて真っ先にやるべきことは散策の足の確保。信楽駅はレンタサイクルのレンタルも行っています。。料金は17時までで500円。+500円で電動アシスト自転車のレンタルも可能です。というか、迷わずアシスト借りてください坂めっちゃキツいです。ちなみに1人での散策の場合はひとり乗り用EVレンタカーも行っているようです。詳しくは信楽市のホームページをご覧ください。

 手荷物が多い場合は駅で預けて身軽に行きましょう。コインロッカーや駅の事務所で預かってくれますよ。料金はいずれも300円になります。

 信楽に来て信楽焼を見るなら、まずは信楽焼がどんな風に作られているのか学ぶために伝統産業会館に行きましょう!伝統産業会館は駅を降りた道沿いにある建物で、信楽焼の歴史を学べる展示をしております。入場料はなんと無料。特別展も無料です。財源はどこで確保しているんでしょうか?

 伝統産業会館で信楽焼の作り方を学ぶと、不思議なことに売り場の信楽焼のうつわが安く見えてきます。これはもううつわ好きあるあるだと思っているのですが、アレだけの工程をこなした末にできる作品がひとつ2,000円は相当安いって感じます。感じますよね?

 伝統産業会館で信楽焼を学んだあとは、早速信楽の街を散策しましょう。おすすめのルートとしては駅前周辺の陶器販売店→神社周辺→窯元が並ぶ道の順。駅前周辺の陶磁器販売店はいわゆる共販というヤツで、複数の信楽焼作家の作品が集うお店が多いです。まずはここで色々と見てみるといいでしょう。

 さて、駅前を歩いてまず感じるのが…

 ほんとたぬきしか

売ってねえなここ!!!!

 実は信楽焼、傘立てや置物、植木鉢など生活大物陶器が有名。ホームセンターで売ってるレンガ色の植木鉢あるじゃないですか。あれ実は信楽焼なんですよ。知ってましたか?とまあそういった物を企業単位で作る窯元も多く、体感4~5割の売り場がたぬきか植木鉢。食器や茶陶を探そうとすると意外に見つからないんです。これ覚えといてくださいね。

 売り場を楽しんだあとは新宮神社周辺を散策。駅から伸びる道を真っ直ぐ歩くと自然に行き着くこの神社。ここには昭和天皇が詠まれた歌碑がございます。(画像右側の見切れてる石碑。)狛犬や灯籠が信楽焼でできていたりと、焼物産地らしい神社ですね。

 この神社の左脇に道があるのですが、ここから伸びる道は窯元散策路。信楽焼の作家さんが集まる地域になります。

 住宅地なので脇道が多いですが、順路には道標としてタイルがあるのでこれを辿っていけば散策できるって訳です。窯元さんによってはギャラリーを解放しているところもございます。中にはふらっと立ち寄って拝見出来たり、要予約だったりとするので情報は集めておきましょう!地域最大の窯元・宗陶窯が散策道の折り返し地点にあるので、目印にしつつ見学してみてはいかがでしょう。

 散策道の道中にあるOgama(明山窯)の登り窯は必見ですよ!今はもう使用されていないようなのですが、窯に並ぶ作品など焼成の風景を間近で見ることができます!!

 この道を歩いていて目に留まったのがこども110番のマーク。皆様のお住まいの地域にもありますでしょう?この制度。あれに協力している家庭には目印になる看板とかがありますよね。

 あれが信楽焼でできてるんですよ〜!しかもたぬき!可愛い〜!!自然釉の信楽製なので焼き色がみんな違うのも面白かったですね。

 散策ルートとしてはこんな感じでしょうか?スムーズにいけば3時間くらいで見て回れるかと思います。存分に買い物を楽しんだら話は別ですけども。私は2日を要しました。

 最後に信楽焼のお買い物をしたい方に、おススメのお店をご紹介いたしましょう!

・陶成アートギャラリー

 地元の信楽焼ユーザーからはおススメされた共販センター。食器の品ぞろえが強いらしいのだが、残念ながら私の旅程は定休日と重なってしまいました…。皆様ぜひ私の代わりを見てきてくださいませ。

・慶順洞

 新宮神社の正面鳥居の左わきを抜けた窯元散策路の序盤にたたずむ窯元さん。蒔窯焼成の伝統技法に拘る窯元さんで、日用器の取り扱いが豊富。実は共販に一切卸しておらず、ここでしか買うことができません。売り場に陳列している一部の花器は非売品なのだとか…残念。

・ほうざん窯

 窯元散策路の山の上にある窯元さん。釉薬を用いた新しい信楽焼に取り組んでおり、雪の中に舞う花びらのような白い陶器など、いろんな作品があります。伝統的な信楽をお探しの場合はあまりお勧めできませんが、新たな信楽の風を感じることができるので一見の価値は大いにあり。ドラマ「スカーレット」の丸熊陶業さんの撮影地でもあるので、ファンの方は必見!

・窯元うつわ

 メインストリートである国道307号にあるからぶき屋根の店。駅から陶芸の森へ向かう場合は、陶芸の森入り口を曲がらずそのまま直進すれば辿り着きます。食卓で使える食器が豊富なお店。値段もリーズナブルで良いのだが…窯主さんが開口一番に「料理人」か「素人」さんか質問でこちらを見極めて、その後はひたすらおススメのうつわを押し付けてくる。正直ゆっくり買い物をしたい方にはあまりお勧めできません。良い食器を焼くだけに、もったいないなぁ…。まああくまで「私の性に合わなかった」に過ぎませんので。地元の方も勧めるほど作品は本物です。私もここだいぶ買いましたしね!

 信楽焼は田山に囲まれた肥沃の土地に根付いた工芸。豊かな自然が生み出した土や自然があるからこそ、生命力あふれる信楽焼ができるわけですね。これらの特徴は今まで訪れた焼き物産地すべてに共通しています。こうした背景を見るたびに、陶芸は自然を享受した伝統工芸品なんだなと思いますね!

 今回の話は以上です!それではまた~!

店主紹介
気楽なスタッフ
気楽なスタッフ
現役サラリーマン
現在20代後半。大学生の時に観たドキュメンタリーがきっかけでうつわに魅了された男。

「ひとりでも多くの人がうつわに込められたメッセージを楽しんでほしい!」をテーマに活動すべく、個性豊かな愛用のうつわに振り回されつつ生活をしている。

愛用のうつわは笠間焼、備前焼、九谷焼きなど日本陶磁器が中心。西洋磁器はウェッジウッド、マイセンがお気に入り。食空間コーディネーター3級を持っています。

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